【事例と対策を徹底解説】遺言書が引き起こす相続トラブルとは?

こんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
遺言書は、自分の財産を誰にどう渡すかを決めて、相続を円満におこなうために有効な書類です。
しかし、遺言書が原因で相続に関するトラブルが発生することもあります。
そこで今回は、遺言書が原因で起こるトラブルを例をあげながらご紹介し、トラブルを避けるための方法も解説いたします。ぜひ参考になさってください。

目次

遺言書に不備がある


遺言書は、法律で定められた要件に従って作成しなければ、無効になってしまいます。
遺言書が無効になると、基本的には相続人全員で遺産分割協議をすることになります。
その際、無効ではあるが個人の意思は読み取れる遺言書の内容を尊重したい人と、そうでない人の対立が生じることがあります。
遺族間の争いを防ぐためにも、有効な遺言書を作成することが重要です。
以下は遺言書が無効となる主な例です。

  1. 日付が特定できない
    日付や年が記載されていない、または「10月吉日」など特定できない日付が記載されている場合、遺言書は無効になります。
  2. 遺言書の字が読めない
    字が汚い、癖が強い、または草書体の場合、鑑定が必要になり、費用がかかる上、解読不能であれば遺言書は無効になります。
  3. 遺産が明確に記載されていない
    遺言書にあいまいな表現があると、遺産分割の際に解釈が分かれ、対立が生じやすくなります。明確に記載することが重要です。
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家族以外に財産を渡す


家族などの法定相続人以外に財産を渡すことを、遺贈(いぞう)といい、遺贈により財産を受け取る人のことを受遺者(じゅいしゃ)といいます。
遺言書では、遺贈をすることもできますが、それにより家族が不満を抱くことがあります。
場合によっては、家族が「受遺者に騙された」などと主張し、裁判で争うことも考えられます。
こうしたトラブルを避けるためには、遺言書に「受遺者に遺贈する理由」を記載することが重要です。
納得できる理由が書かれていれば、相続人の不信感を減らし、争いのリスクを低くすることができます。
また、あらかじめ受遺者となる人の存在を家族にも共有しておくことも重要です。

相続税を考えていない


遺産を相続すると、相続税を払わなければならないことがあります。
不動産や高級車など簡単に換金出来ないものを相続した場合、現金が足りず相続税が払えないこともあります。遺言書を書くときに相続税も考慮することが大切です。

無理やり書かされた可能性がある


相続する家族が、詐欺や強迫で書かれた遺言書ではないか?認知症で判断能力が無いのに書かされたのでは無いか?と疑い、遺言書無効の訴訟をおこなうことがあります。
家族がそのような疑いを持たないよう公正証書遺言にしたり、あらかじめ遺言書を書いたことを家族に共有しておくことが有効です。

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極端な遺言内容で納得できない


例えば「特定の相続人にすべての相続させる」と遺言していた場合、他相続人は納得できないと感じることがあります。
相続人には遺留分(いりゅうぶん)という最低限保障される相続額が決まっており、それが侵害されている場合は遺留分侵害額請求が可能です。(兄弟姉妹は対象外)
ただし、請求で得られるのは基本的に金銭であり、土地や建物を手に入れるのは難しいですし、侵害額請求がおこなわれることで、その後の相続人同士の関係に遺恨が残る可能性もあります。
遺留分を考慮した相続割合にしたり、付言事項でこの遺産割合にした理由などを記載しておくことで、こうしたリスクを軽減できます。

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想定していない相続人が記載されていた

遺言者が亡くなった後に、前妻との間の子供や、隠し子が発覚することがあります。
この場合、認知されている子供は他の子供と同じ相続分を持ちます。遺言書で認知された場合も同様です。
家族にとっては、知らなかった事実を知るのは衝撃的で、遺産が渡ることを受け入れられない場合があります。
トラブルを避けるためにも、可能な限り生前に打ち明け、理解を得ておくことが重要です。

遺言書が見当たらない、または遺産分割協議後に見つかる

せっかく遺言書を書いても、発見してもらえなければ意味がありません。
遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合は、基本的に遺言書が優先されますが、遺言内容と遺産分割協議で決めた内容と異なる場合、納得できない方が出て争いに発展する可能性もあります。
また、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議の内容で相続することもできるため、遺言書どおりに相続が行われない可能性もでてきます。
こうしたことが無いよう、公正証書遺言にしたり、法務局の遺言書保管制度を利用するなど、相続人が検索しやすくかつ、紛失、改ざんのリスクが少ない保管方法を選ぶことをお勧めします。

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さいごに

いかがでしたか?
遺言書は書いておけば完璧というわけではありません。
内容や書き方、保管方法、親族への情報共有など、適切な準備をおこなうことで、遺言書が無効になったり、相続人同士が争うリスクを減らすことができます。

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