\ポイントは遺言能力!/認知症の方が書いた遺言書は有効か?

こんにちは。まだ梅雨明け前ですが暑い日が続いていますね。こまめに水分補給をするなど、熱中症対策をしてお過ごしください。

さて、遺言書においてしばしば問題になるのが、認知症となった方が遺言書を作成した場合です。認知症の方が遺言書を作成した場合には、遺言書の有効性を巡って相続人同士で争いが生じることがあります。では、認知症の方が作成した遺言書は無効とされるのでしょうか、それとも有効とされるのでしょうか?今回は認知症の方が書いた遺言書の有効性についてご紹介します。

目次

認知症の方が遺言書を書いても有効?

遺言書作成時に、認知症と診断されていただけでは、遺言書を作成する能力が無いとは言えず、直ちに遺言書が無効になるわけではありません。

認知症であっても、遺言書の内容と、遺言書によってもたらされる効果を認識することができる能力があれば、有効な遺言書を作成することができます。この能力のことを遺言能力と呼びます。

遺言書の有効性は、認知症か否かではなく、遺言能力があるか否かで判断されるのです。

遺言能力の有無の判断基準

では、遺言能力の有無は、何を基準に判断されるのかを見ていきます。遺言能力は、以下のような医学的、行動観察的観点から判断されます。

①精神上の障害の存否・内容・程度
精神鑑定の結果や主治医等の診断、遺言時・遺言前後の症状・言動など

②年齢
加齢による老化現象として記憶力や判断力の低下がみられるため

③遺言作成に至る経緯(遺言の動機・理由
遺言を作成する動機や理由が、遺言内容と整合しているか、合理性があるかどうかなど

④遺言の内容
遺言内容が簡明、単純であれば、多少遺言者の判断力が低下していたとしても遺言能力があると判断されやすくなる

⑤相続人又は受遺者との人的関係
遺言者と、相続人又は受遺者との関係性の深さと、遺言内容に合理性があるかどうかなど
例:ほとんど交流が無く関係も薄い相手に、多額の遺産を取得させるという遺言内容の場合、遺言能力が無いと判断されやすくなります

ケース紹介

では次に、遺言能力の有無が争われて、遺言能力がないと判断されたケースと、遺言能力があると判断されたケースをご紹介します。

遺言能力がないと判断されたケース

遺言者は、平成8年ころにアルツハイマー型認知症を発症、平成9年9月に脳梗塞で倒れ、見当識障害、記憶障害などの症状が認められるようになった。
平成12年アルツハイマー型認知症と脳梗塞が重症化し、知能検査や医師の診断でも重度との判断が出ている状態で自筆証書遺言が作成されていたことから、裁判所は、遺言者には遺言能力がないと判断した。

遺言能力があると判断されたケース

遺言者は、遺言書作成時に認知症の診断がでており、理解力や判断力にも相応の障害が生じていたと推認される状態だったが、作成された遺言書の内容が、従前の遺言を撤回して、相続人の1人またはその長男に相続させるというものだった。3条のみで、複雑な判断や理解を要するものとは解されず、遺言者の当時の認知能力によっても理解が困難なものであったとはいえないとして、遺言能力が認められた。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

ご紹介した通り、認知症と診断されたからといって、直ちに遺言書を作成できなくなるわけではありません。しかし、認知症と診断された後に作成された遺言書については、遺言者が亡くなった後、相続人間で争いになってしまう可能性があります。

争いの無い相続を実現する為の遺言書が、争いの火種になってしまわないよう、遺言書はできる限り早めに作成しておくことをおすすめします。

当事務所では、遺言書に関する相談から遺言書の作成まで承っております。不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談は無料)

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