\時代に合わないとの指摘も/パソコンやスマホで作った遺言書は無効

こんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
デジタル技術の進化により、私たちの生活は大きく変化しており、遺言書についても例外ではありません。かつては紙に書かれることが一般的でしたが、現在ではメールやパソコンで遺言を残されているというケースも増えているようです。
しかし、このようにデジタル機器で作成された遺言書は法的に有効なのでしょうか?そこで今回は、そんな疑問について解説していきます。

目次

遺言書には種類がある

遺言書にはいくつかの種類があり、種類によって法的な効力や手続きが異なります。代表的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

公正証書遺言は、公証人が遺言者本人から遺言内容を聴き取って作成する遺言書です。遺言書の原本が、書面とデータで公証役場に保管されるため、本人がデジタル機器で作成したり、保管しているということはありません。

自筆証書遺言は、遺言者本人が自ら作成する遺言書です。作成や保管の方法も本人次第ですので、デジタル機器で作成、保管してしまっている場合があります。

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自書でなければ無効

遺言書には民法で規定された要件があり、それを満たさないものは無効となります。そして、自筆証書遺言の場合、遺言者自身が自書する必要があります。つまりデジタル機器で作成された遺言は法的には無効です。

なお、公正証書遺言の場合は、公証人が作成するため要件を満たさず無効になることはありません。

財産目録のみパソコン作成ができる

自筆証書遺言は、遺言者自身が自書する必要がありますが、財産目録はパソコンで作成することが認められています。

財産目録とは、相続財産の内容が一覧でわかるようにまとめたものです。相続財産の全てを自筆するのは負担が重いため、デジタル機器で作成したり、通帳や登記事項証明書の写しを添付するなどの方法でで作成することが認められています。

ただしその場合は、目録の全てのページに署名押印が必要です。

【参考】法務省HPより

今後デジタル機器で作成できるように?

 2022年の総務省の調査では、60~69歳の国民の約51%がパソコンでインターネットを利用し、70~79歳でも約33%が利用。スマートフォンの利用率もそれぞれ約74%、約47%に上り、今後、遺言書を作成するのはさらに若い世代になるとみられることから、全文手書きは時代に合わないとの指摘が出ていました。この背景から、法務省は有識者会議を設け、デジタル機器での自筆証書遺言の作成解禁に向けて、民法改正の議論を本格化させることになっています。

さいごに

自分で作成する自筆証書遺言は、財産目録のみデジタル機器での作成が認められています。
ただしその場合、目録の全てのページに署名押印が必要です。デジタル機器での遺言書作成については、法的な立場からの議論が続いており、今後は解禁される可能性もあります。
遺言書の作成や管理については法的要件を遵守する必要があるため、慎重な対応が必要です。当事務所では、相続や遺言作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)

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