\仲が良ければ大丈夫?/家族が仲良しでも相続トラブルに備えるべき理由

こんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
相続は家族にとって重要な問題であり、その過程でトラブルが発生することもめずらしいことではありません。ただ、家族全員の仲が良く、円満な関係を築いていると、相続トラブルは起こりにくいと考えてしまいがちです。

しかし、実際にはそう単純なものではありません。家族内での関係が良好であっても、相続に関する問題は複雑で、さまざまな要素が絡み合ため、相続トラブルが発生する可能性が十分に存在します。

家族仲が良い場合でも、事前に適切な対策を講じておくことが重要です。事前の話し合いや、遺言書の作成、相続財産の整理など、方法は様々があります。そこで今回は、家族全員が仲良い場合でも相続トラブルが発生する理由や、その対策についてご紹介いたします。

目次

「公平」の考え方は人それぞれ

相続において最も重要なポイントの一つが遺産の分割です。家族全員が仲良いと、遺産は「公平」に分割されると考えるかと思いますが、財産の価値や感情の絡む部分によって「公平」な分割が難しくなります。

例えば、「弟は学費を多く払ってもらったのだから、私がその分多く相続するのが公平だ」や「私が一番親を介護したのだから、その分多く相続するのが公平だ」など、公平の考え方はそれぞれです。
この考え方の相違から感情的に対立してしまうと、なかなか妥協できず対立が長引いてしまう可能性があります。

特に、遺産の一部が不動産や会社などの資産である場合、その評価や分割方法によっては意見の相違が生じやすくなります。

「大した遺産がないから大丈夫」が危ない

大した遺産がないから大丈夫というご意見もよく耳にします。しかし、大した遺産が無いからこそ、それを巡って争いが起こることもあります。例えば自宅を相続する場合、その使用権や売却に伴う費用負担などをめぐって意見の対立が生じることがあります。

分けられる財産に限りがあるからこそ、分割方法や代償手段にも限りが出るため、トラブルになることがあるのです。

参考までに、2000年以降、家庭裁判所での遺産分割協議調停申立件数は毎年約15,000件です。
この約15,000件のうち、相続財産1,000万円以下が35% 5,000万円以下が43%です。
決して財産が多いから、争いになるわけでもないということがわかります。

思い入れがあるからこそすれ違う

家族が仲良い方は、家族や家族の財産への思い入れも強くなります。しかし、考え方はそれぞれで、価値観が異なることがあります。

例えば、「親の遺産をどのように活用するか」、「相続財産を受け取った際の責任や義務」、「将来の計画」などに関して考えが異なることがあります。

仲が良く思いが強いからこそ、少しのすれ違いが妥協できず、大きな対立になる可能性があるのです。

以前、家族仲の良い知人夫婦が、母の日に孫を連れて実家に顔を出すことについてこんなやりとりをしていました。

夫「母の日には、孫の顔を見せるのが母のためだ」
妻「母の日には、ゆっくり過ごしてもらうのが母のためだ」

どちらも母のことを思っての意見です。相続でもこれと同じように、家族を思うからこその意見の違いから、争いに発展してしまうこともあるのです。

円満に相続するには

では次に、相続トラブルを予防する方法をご紹介します。

意見や希望をしっかり話し合う

まずは、相続に関する意見や希望をしっかりと話し合うことが重要です。家族間で意見のすり合わせをすることで、意見の相違を無くし、トラブルを未然に防ぐことができます。
こうした話し合いは、遺産を遺す側(親)が主導するのが理想ですが、そうでない場合は、知人で相続があった時や、テレビで相続の話題を見たときなどをきっかけに、少しずつ話してみると良いかと思います。

遺言書の作成

 遺産を遺す側が、遺言書を作成することが効果的です。
遺言書により、相続財産の分割方法や相続人を明確にすることができ、トラブルを回避することができます。
ただし、遺言書として有効な要式で作成していなかったり、極端に不公平な遺言書を作成してしまうと、逆にトラブルの要因になってしまうこともあるため注意が必要です。

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さいごに

家族全員が仲良いからこそ、少しの考えの相違が相続トラブルに発展してしまう可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためには、コミュニケーションを密にし、お互いの考えや感情をしっかりと共有しておくと共に、遺産を遺す側が、遺言書という形で意思を示しておくことが効果的です。当事務所では、相続や遺言作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)

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