こんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
遺言書は作成した方が亡くなった時に効力が発生しますが、効力発生までに数年から数十年かかることがあり、その間に遺言書に記載した家を建て替えたり増築することもあるかもしれません。ではその場合、遺言書の変更は必要でしょうか?それとも所有者や土地は変わっていないので必要ないでしょうか?
そこで今回は、遺言書作成後に相続財産である建物に変動があった場合の対応についてご紹介します。
遺言書を変更しないと原則遺産分割の対象に
建て替えたり増築した場合、原則遺言書の変更が必要になります。建物は不動産登記簿上の情報で特定されますが、立て替えたり増築することで延べ床面積や家屋番号という登記簿上の情報が変更されます。つまり同じ土地の上に建っていても登記簿上は別の建物となり、遺言書に記載した建て替え前の建物は存在しないことになるのです。
遺言書に記載のない財産については、相続人間同士で遺産分割協議をしてどのように相続するかを決めることになりますので、遺言書作成者の意向が反映されない可能性もあります。
不動産登記を変更した場合は遺言書も変更し、ご自身の意思が反映されるようにしましょう。
なお、建物面積や用途など登記事項の変更がないリフォームであれば、遺言書の変更も必要ありません。
遺言書の書き方の工夫
建て替えや増築が想定される場合、遺言書に下記のように一言付け加えておくという方法もあります。
こうすることによって、建物を建て替えたとしても遺言書の変更をせずに立て替えた建物を相続させることができます。
ただし、遺言執行する観点からみると正確に財産を明記しておく方が好ましいですので、不動産の登記を変更した場合は遺言書も変更することをお勧めいたします。
さいごに
遺言書は効力が生じるまで一定期間がかかることが通常です。この期間中、遺言書に書かれた財産の内容が変動する可能性があり、初めに作成した遺言書では遺言者の意向が反映されなくなる場合があります。不都合を避けるためには、遺言書を作成後には定期的に内容を見直すことがお勧めです。また、財産の変動が見込まれる場合は、将来的な負担軽減のために工夫して記述することも検討してみてください。
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