こんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
相続対策として、遺言書と生前贈与は一般的な方法ですが、どちらが良いか悩まれる方も多いかと思います。
結論としては一概に答えがなく、ケースバイケースで適切な方法が異なります。遺言書と生前贈与にはそれぞれメリットとデメリットがあり、状況に応じて適切な選択をする必要があります。
そこで今回は、遺言書と生前贈与それぞれの有効性や特徴、メリットとデメリットについてご紹介します。
遺言書とは
遺言書とは、自分の死後に遺産をどのように分配するかを意思表示する文書です。
遺言書は法定効力を持ち、財産は原則遺言書通りに分割されます。遺言書がない場合は、法定相続人が協議してどのように遺産分割するか決定します。遺言書があると、遺言書通りに財産分割が行われるため、相続争いを防ぐ効果があり、相続手続きがスムーズになります。
生前贈与とは
生前贈与は、贈与者が生存している間に特定の受遺者に財産を与える行為です。
贈与者と受遺者の双方が合意していることで契約が成立します。相続税は、相続によって得た金額に応じて高い税率がかかるため、生前贈与を利用することで、手元の財産を減らし、相続税を抑える効果があります。
遺言書のメリットとデメリット
遺言書のメリットは、原則遺言者の希望通りに遺産分割が行われ、不要な相続争いを防げることです。
ただし、遺言を作成したご本人が生存している間は効力が発生せず、遺言書通りに実行されるかは本人にはわかりません。遺言内容が曖昧だったり、形式不備で遺言書が無効と判断された場合、逆に相続人同士の争いを招いてしまう可能性があります。
生前贈与のメリットとデメリット
生前贈与のメリットは、手元の財産を減らし、相続税を抑えることができることです。
また、受贈者ごとに年間110万円までの贈与が非課税となり、110万円以内であれば申告も不要です。 受贈者にとっても、贈与された財産は将来の相続税の納税資金となります。
デメリットとしては、一度贈与した財産は基本的に取り消すことが難しいため、将来の不測の事態に対処できない場合があります。また、非課税枠以上の贈与には贈与税がかかるため、贈与時に一定の負担は発生します。
どちらを選択すべきか?
遺言書と生前贈与のどちらが有効かは、個々の状況や目的によって異なります。以下の点などを参考にしてください。
そもそも相続税が発生するか確認する
相続税は高い税率で知られていますが、相続税が発生しない場合もあります。
相続財産が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)未満なら、相続税は発生しません。
参考までに、令和2年度一年間に亡くなった方のうち、相続税の課税対象者となった方は8.8%でした。
不動産の生前贈与はあまり節税効果がない
不動産を生前贈与する場合、贈与税、不動産取得税、登録免許税がかかります。また、年110万円までの非課税枠も利用できません。
一方、遺言書で不動産を相続した場合、相続税を節税できる「小規模宅地等の特例」が利用できます。
この特例は、被相続人と同居する配偶者や子、自宅を保有していない子が対象で、相続税の計算時に土地の評価額が330平方メートルまでなら80%減額されるというものです。また、相続であれば不動産取得税がかからず、登録免許税も相続登記の方が安くなっています。
そのため、生前贈与をする資産は現金や有価証券を選択するのが一般的です。
さいごに
生前贈与と遺言書にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらがおすすめかは一概には言えません。状況に合わせて、両者をうまく活用して相続対策を行うことが望ましいでしょう。
資産が複雑であったり、相続税の対象となる場合には税理士などの専門家に相談をしておくと安心です。
遺言書の作成に関しては、行政書士などの書類作成の専門家のサポートを受けながら作成することで、無効になるリスクを避けられ、相続人同士の争いを招かない内容の遺言書が作成できます。
当事務所では、相続や遺言作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)
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