こんにちは。まだ4月ですがここ数日は夏日が続きましたね。服装や寝具など、上手く調整して体調を崩さないようにしていきたいと思います。
さて、まだ遺言書を書かないという方のなかには、「財産や相続人が変わる可能性があるから」という方も多いのではないでしょうか?実は、遺言書は一度作成して終わりではなく、定期的に見直し、必要に応じて修正をしていくことができます。
そこで今日は、遺言書を作成した後に修正する方法についてご紹介いたします。
修正が必要になる場合
遺言書の修正が必要になるのは主に以下のような場合です。
- 相続人・受遺者・遺言執行者の変化
- 財産の大きな変動
- 法律の改正
一つ一つ見ていきましょう
相続人・受遺者・遺言執行者の変化
遺言書で、遺産を受け取る人(相続人、受遺者)に指定した人や、遺言書の内容を実行する人(遺言執行者)に指定した人が、自分より先に亡くなってしまうこともあり得ます。もしそうなった場合に遺言書をそのままにしておくと、亡くなった方に遺贈するはずだった財産は、相続人間で分割協議が必要になり、遺言執行者については必要に応じて家庭裁判所に選任を申立てる必要が出てきます。そのため、相続人・受遺者・遺言執行者が亡くなった場合は、遺言書を書き換えることを検討しましょう。
なお、予め遺言書に以下の様な条文を記載しておくことで、修正が不要になる場合もあります。
- 遺言者の死亡より前に受遺者Aが死亡したときは、Bを受遺者とする
- 遺言者の死亡より前に遺言執行者Aが死亡したときは、本遺言の遺言執行者としてBを指定する
財産の大きな変動
遺言作成者が、遺言書に記載されている財産を処分(売却)したり、破棄したり、贈与すると、その処分等された財産については遺言書を撤回したものとみなされます。
例えば、遺言書に「自宅不動産を子Aに相続させる」と書いた後に、自宅を売却した場合は、この部分について遺言書を撤回したものとみなされます。そのため、遺言書を作成した後でも基本的に自分の財産は自由に使用することができます。
ただし、財産が大きく変化して、相続人間の不均衡が生じたり、特定の相続人の遺留分が侵害されるような場合には、遺言書の見直しを検討しましょう。例えば、「預貯金を子Aに、株式などの有価証券を子Bに相続させる」という遺言内容にしていたところ、預貯金の残高が思ったよりも減り、有価証券の時価が思ったよりも高くなって、不均衡が生じるなどです。
法律の改正
法律の変更により、より自分の意向に沿った遺言書が作成できるようになる場合があります。
例えば、令和2年4月には「配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)」という権利が新たに認められました。
配偶者居住権は、配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、無償で居住することができる権利です。これにより、遺産を現金として相続しやすくなり、残された配偶者の生活費が確保しやすくなりました。
このように、遺言書が完成した後に法律が変わったり、新しい法律が作られたりした際は、変更点を確認して、遺言書の書き換えや制度の利用を検討すると良いでしょう。
遺言書の修正方法
遺言書の修正方法は、遺言書の種類によって異なります。遺言書の種類は大きく分けて自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」に分けられます。
自筆証書遺言の修正
自筆証書遺言は自分で修正することができます。修正方法は以下の通りです。
- 変更の内容がわかるように記入して、その箇所に訂正印を押します。その際の印章(印鑑)は特に決まっていませんが、本文で押印する印章と同じ方が良いでしょう。
- 余白(変更箇所の近く)に、変更の内容を書いて、署名します。
- 「1字削除、2字加入」のように変更内容を書いて、署名が必要です。
公正証書遺言の修正
公正証書遺言は、原本が公証役場で保管されているので、自分で修正することはできません。そのため、基本的には新たに遺言書を作成します。遺言書は、最新の日付のものが優先されるため、新たに作成することで内容が変更できます。形式は問われないので、新たに自筆証書遺言を作成しても構いませんが、もともと公正証書遺言で作成していたのであれば、新たに作成する遺言書も公正証書遺言にした方が良いでしょう。
なお、細かな誤記など法律行為の本体を変更しない限度であれば、「更正証書」や「補充証書」を作成する方法もありますので、変更が必要だと思われたらまず、作成をお願いした公証役場や専門家に相談しましょう。
さいごに
遺言書はこのように何度でも修正することができ、定期的に見直すことが推奨されています。変更が必要になる出来事が無くても、ご自身のお気持ちや、ご家族の状況などによって作り直す方もいらっしゃいます。ただし、正しい方法で修正されていないと、無効になったり、希望通りの相続や遺贈などがされない場合もあります。遺言書を見直す場合も、専門家等に相談しながら行う事をお勧めします。
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