皆さんこんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
10月に入りぐっと秋らしい気候になってきましたね。特に朝夜は冷えるので体調管理にお気を付けください。
さて、日本には多くの外国籍の方が住んでおり、現在日本で結婚するカップルのうちおよそ3%は異なる国籍間と言われています。アメリカを含む欧米諸国では、日本とは異なり遺言を作成することが一般的で、日本に在住する外国人の中でも、遺言を残したいと考える方は増えてきます。ただ、すべての方が日本語で遺言を作成することは難しい状況です。
それでは、遺言は外国語で書かれていても有効なのでしょうか?また国籍による違いはあるのでしょうか?
そこで今回は、外国語で遺言をする際に留意すべき点についてご紹介いたします。
外国語で作成された遺言は有効か?
「遺言の方法の準拠法に関する法律第2条」では、以下のいずれかに適合する方式で作成された遺言は有効とされています。
①行為地法(遺言を作成する地の法)
②遺言者が遺言の成立または死亡の当時国籍を有した地の法
③遺言者が遺言の成立または死亡の当時住所を有した地の法
④遺言者が遺言の成立または死亡の当時常居所を有した地の法
⑤不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
遺言の方法の準拠法に関する法律より
つまり、日本に住んでいる外国の方の場合、国籍が本国のままであれば、本国の法律による方式で遺言を作成しても、日本の民法に基づく方式で作成しても有効です。
遺言内容が実現できるかは別
ただし、遺言書として形式上有効でも、その内容が実現できるかは別問題になります。
法の適用に関する通則法によると、「遺言の成立及び効力は、遺言成立当時の遺言者の本国法による」とされています。
つまり、日本の法律上有効な形式で作成されていたとしても、内容が有効かは本国の法律によるということです。
そのため、遺言を作成する際には、本国の法律も確認して作成する必要があります。外国における相続法の内容は、個別の国の法律を調査するしか方法はありませんが、主要な国の相続関係法は日本語訳があります。
日本の方式で作成する場合の注意点
とはいえ、日本に住む方が日本にある財産を遺すのであれば、日本の方式(自筆証書遺言、公正証書遺言等)で作成のが最善です。そこで日本の方式で作成する場合の留意点をご紹介します。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、その名の通り直筆で作成する遺言ですが(財産目録を除く)、日本語で書かなければならないという規定はないため、外国語で書いても有効です。また、日本人が作成する際には押印が必須になりますが、日本以外の国では押印する文化・慣習が無いことがほとんどなので、外国人はサインをすれば押印は不要されています。
ただし、自筆証書遺言は執行前に家庭裁判所で検認を受ける必要があり、その際法定相続人を確定しなければなりません。外国では戸籍制度がない国が一般的で、相続人を確定する作業が困難になることが想定されるためあまり推奨できません。
②公正証書遺言
公正証書遺言とは、本人と証人2名が公証役場で公証人という有資格者の職員に作成してもらう遺言書のことです。公正証書遺言は必ず日本語で作成されますが、通訳の方に同席いただくことができますので、日本語が理解できない方でも作成することができます。自筆証書遺言と違い、家庭裁判所の検認手続きが不要なので、相続人の確定も必要なく、スムーズに手続きができます。
また、公正証書遺言は公証役場に原本とデータが保存され公文書となるため、自筆証書遺言に比べて証拠力が高く、より確実な遺言方法といえます。日本の方式で作成するのであれば公正証書遺言がおすすめです。
さいごに
いかがでしたか?
外国籍の方の場合は、本国法の影響もあるため、相続手続きが複雑になる可能性があります。遺言書を作成しておくことで、円満でスムーズな相続が行えるよう対策しておくことがおすすめです。当事務所では、遺言書作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)
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