\争いにならないために/寄与分とは?

皆さんこんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。

すっかり秋めいてきましたね。ここ数日は金木犀の香りもするようになってきました。

さて、みなさんは相続における「寄与分(きよぶん)」についてご存じでしょうか?寄与分とは、被相続人(故人)の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多くもらうことができる制度です。ただし寄与分が認められるための要件は厳しく、寄与分がきっかけで相続人同士の争いに発展するケースもあります。そこで今回は、寄与分の基礎知識などについてご紹介いたします。

目次

寄与分とは

民法では、被相続人の財産を維持・増加させるために特別な貢献をした相続人が、法定相続分の枠を超えた財産を相続することを認めています。これが「寄与分」です。例えば、家業を無給で手伝い財産の維持・増額に貢献していたり、長期にわたって介護をし介護費用負担を大幅に削減したなどです。

寄与分の対象は法定相続人のみであり、内縁の妻や、子の配偶者は相続権を持たないため対象外です。しかし、子の配偶者が献身的に介護するケースなど、法定相続人以外が被相続人に貢献しているケースも多くありました。
そこで、2019年の民法改正により、相続人以外の親族が相続人に対して寄与に応じた金銭の請求できる「特別寄与料」制度が創設され、事実上、相続人以外の親族も寄与分を主張することができるようになっています。

寄与分の決定方法

寄与分は、相続人全員が遺産分割協議の中で話し合いをして決定するのが原則です。 そのため、寄与分を主張したければ、まずは相続人同士の話し合いで主張する必要があります。


もし相続人間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所における調停、それでもまとまらない場合には、家庭裁判所の審判により判断してもらうこととなります。

寄与分の要件

寄与分が認められるためには、相続人が被相続人に対して特別な貢献をしたことが必要になります。「特別な貢献」かどうかの判断基準には以下の要素が考慮されます。

・対価を受け取っていない、もしくはそれに準ずる状況であること
・その寄与行為が被相続人にとって必要不可欠だったこと
・被相続人と相続人の身分関係(例: 夫婦や親子)から、通常期待される範囲を超える行為であること
・その行為に専念していたこと(片手間ではできない負担があった)
・寄与行為が一定期間以上であること

これらの要素等を基準に、他の相続人や裁判官が寄与分を認めるかの判断を行います。

寄与分は認められにくい

寄与分を主張する際は、「通常期待される程度を超えるか」がポイントになります。例えば、親の介護を一人で担っていたとしても、身分関係上期待される範囲内とされることが多く、寄与分は認められない可能性が高いです。また、通所期待される程度を超えていたとしても、それを裏付ける十分な証拠が残っておらず認められない場合もあります。


一方で寄与分を主張する側には、主張するだけの強い思いがあるため、認められないことで感情的な対立を生んでしまい、円満な話し合いが難しくなります。このため、裁判所での調停や審判が必要となり、遺産分割が長引いてしまうのです。

遺言書が有効

遺言書と寄与分では遺言書が優先されます。遺言書で遺産の分割割合や受取人が指定されている場合、それに反した寄与分の請求はできません。例えば、長男が特別な寄与をしていたとしても、遺言書で次男と同程度の遺産を相続するよう指定されていれば、長男はその額以上を寄与分として請求することは原則できません。

つまり、遺言書があれば寄与分をめぐる争いを防ぐことができるのです。遺言書では遺言者本人の判断で、特別な貢献をしてくれたと感じる方に遺産を多く割り当てることができますし、付言事項などでそうした理由を示しておくことで、相続人の感情面の納得も得やすくなります。

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さいごに

いかがでしたか?
寄与分は被相続人の財産維持や増加に貢献をした相続人の相続分を増やすことができる良い制度ですが、場合によっては相続人間の争いの火種となる事もあります。遺言書を作成し、ご自身の思いとともに遺産分割の割合をしめすことで、この争いは未然に防ぐことができます。当事務所では、遺言書作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)

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