\法的家族関係!/養子の相続について知る

皆さんこんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
先週末から東京は季節外れの暖かさですね。今日も20℃近くまで気温が上がるようです。師走であることを忘れてしまいそうですね。

さて、皆さんは養子の相続についてご存知でしょうか?
養子とは、血縁関係はないけれども養子縁組を通じて法的な親子関係が成り立った子どものことを指します。最近では相続税対策として養子縁組を選ぶ方も増えており、身近なテーマとなっています。

そこで今日は養子がいる場合の相続について、実子との違いや、注意点など基本的な知識をご紹介します。

養子がいる場合の相続について理解することで、実子との違いや留意点が明らかになりますので、誰もが参考になる基本的な知識となっています。ぜひ最後までご覧いただき、養子縁組と相続についての理解を深めてください。

目次

養子の法的地位

養子縁組が認められると、養子は実子と同等の法的取扱いを受けることが保障されます。

具体的には、両親(養親)が相続の対象となった場合、養子には実子と同様の相続権が認められ法定相続分も与えられます。また、学校や医療機関などでの権利や福祉に関しても、実子と同等の配慮がなされます。

養子縁組は単なる手続きだけでなく、法的な取り決めや権利保護の仕組みが整っているため、養子は法的にも実質的にも実子と同等の立場にあると言えます。

養子縁組の種類

養子縁組には「普通養子縁組」「特別養子縁組」の2種類があります。

普通養子縁組は一般的な養子縁組の形態で、再婚相手の連れ子や孫を養子とする際に採用されます。実親との血縁関係を残したまま、養親との親子関係が成立し、当事者同士の協議により、普通養子縁組から離縁することが可能です。普通養子縁組で養子となった方は、実親と養親両方から相続する権利を持つことになります。

一方、特別養子縁組は実親との生活が難しい子供の福祉増進を目的とし、新たな親子関係を築くための制度です。 養子は実親との法的な親子関係を完全に解消し、離縁は原則としてできません。

養子の代襲相続(だいしゅうそうぞく)

代襲相続とは、亡くなった子の代わりに孫が相続するなど相続する予定だった方が先に亡くなった場合に、代わりに次の相続人が相続する仕組みです。

故人に養子とその子(故人の孫)がいる場合、養子の子が養子縁組後に生まれていれば代襲相続が可能ですが養子縁組前に生まれた子の場合は代襲相続できません。

例えば、養子に2人子供がいて第一子は養子縁組前、第二子は養子縁組後に生まれていた場合。代襲相続できるのは第二子のみというとになります。

相続上の養子縁組のメリット、デメリット

養子縁組をすることでの主なメリットのひとつは法定相続人が増え、相続税の基礎控除額が増加することです。

基礎控除額とは、相続税のボーダーラインのことで、遺産総額がこれを下回ると相続税は課税されません。基礎控除額の計算式は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」です。基礎控除額計算に関与する法定相続人には養子も含まれるため養子がいることで、相続税対策になります。ただし、極端な対策を防止する目的で、法定相続人として数える養子の人数には制限があります。

もう一つのメリットは、生命保険や死亡保険金の非課税枠が増えることです。

生命保険金や死亡保険金は相続財産ではありませんが、被相続人の死亡により支払われるため超えた部分に相続税が課税されます。「法定相続人の人数×500万円」までは非課税枠となっており、計算に関与する法定相続人には養子も含まれるため養子がいることで、相続税対策になります。基礎控除額同様、法定相続人として数える養子の人数には制限があります。

そのほか、本来法定相続人ではない方に財産を相続させることができるというこもメリットかと思います。

一方デメリットとしては以下のようなことが考えられます。

  • 相続人が増えることで一人当たりの相続分が減り、実子など他相続人間と争いになる可能性がある
  • 孫を養子とした場合、財産に対する相続税が2割加算される
  • 子の配偶者を養子にした場合、配偶者の親族に財産が渡る可能性がある(離婚しても養子としての地位は変わらない)

これらメリットデメリットを考慮して判断することが必要です。

さいごに

いかがでしたか?
養子縁組は血縁上で親子ではない方と親子関係を結ぶ法律上行為です。様々なメリットはありますが本来親子ではない方と親子関係を結ぶことになるため、トラブルが生じる可能性も否定できません。相続上の利益だけを考えて判断するのではなく家族や専門家などと相談の上、慎重に対応することが必要です。
当事務所では、遺言書作成や相続手続きに関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)

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