\未来を見据えることが重要!/不動産を共有相続するメリットデメリット

皆さんこんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
毎週お伝えしているかもしれませんが、昨日も季節外れの暖かさでしたね。東京は気温が20℃近くまで上がり夜もコートはいりませんでした。ただ今日から都心部でも寒気が流れてくるようで服装には注意したいです。

さて、不動産を相続する場合、相続人が複数いらっしゃると共有名義での相続を検討されることもあるかと思います。しかし、共有名義での不動産相続には将来的なトラブルのリスクが伴います。一方でメリットもあるため、その両方を理解することが重要です。そこで今回は、共有名義で不動産を相続する際のメリットデメリットや、注意すべきポイントについてご紹介します。不動産の相続を検討されている方はぜひ参考になさってください。

目次

共有相続とは

「共有相続」とは、複数の相続人が共同で特定の遺産を取得することです。遺産の所有権は分割され各相続人に割り振られます。各相続人が持つ分割された所有権の割合を「共有持分」と呼び、共有持分に応じた使用ができます。
持分に応じた使用の例は以下の通りです。

掃除など共有物の現状を維持する行為(保存行為) → 共有者一人で可能
改築など共有物を改良する行為(管理行為) → 各共有者の持分の過半数の同意が必要
売却など共有物の形もしくは性質に変更を加えること(変更行為) → 全員の同意が必要

共有相続のメリット

共有相続のメリットはまず、遺産分割が公平になることです。
共有にすることで納得感が得やすく、相続同士の揉め事を避けられます。特に不動産の他に遺産がほとんどない場合、単独取得すると他相続人が不満を持つ可能性があるため共有を選択されるケースがあります。

次のメリットは、不動産を売却する際の税金の控除額が上がることです。
共有名義のマイホームを売却すると「居住用財産の3,000万円特別控除」により、譲渡所得にかかる税金の控除が2人で共有する場合は二重で受けられ、経済的なメリットがあります。相続した不動産は減価償却が進んでおり、土地も元から保有している場合が多いため、取得費が少なくなり譲渡所得税がかかりやすいためこの控除は大きいです。

譲渡所得 = 譲渡収入金額※1−(取得費※2 + 譲渡費用※3)

※1土地・建物の譲渡代金、固定資産税・都市計画税の精算金
※2取得費 次の①、②のうち大きい金額を使います
①実額法:土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
②概算法:譲渡収入金額×5%
※3売るために直接かかった費用

共有のデメリット

共有名義のデメリットとしてはまず、売却や不動産活用に全員が同意しなくてはならないことです。共有不動産を売却したり賃貸する場合、共有者全員の同意が必要なため、共有者の事情や距離によって同意を得るのが難しい場合があります。不仲などの事情で共有名義から勝手に外すことは裁判で負ける可能性が高まります。

二つ目は、固定資産税の支払いの分割が難しいことです。固定資産税は共有者全体の連帯責任であり代表者が全額支払い、後で各共有者に請求する仕組みです。一部の共有者が支払わない場合、他の共有者に請求されたり資産が差し押さえられる可能性があります。また、空家にしていると空き家対策特別措置法により固定資産税の上乗せが起こる可能性もあります。

三つ目は、将来世代に負担をかけることです。共有名義のままだと相続が複雑化し子や孫の世代への引き継ぎが困難になったり、相続のたびに共有者が増加し誰が共有者かを特定することが難しくなるなど、将来の世代に負担をかけることになります。土地や住宅を将来の世代に引き継ぎたい場合は、自身の代で共有名義にするのは避けたほうが良いかもしれません。

共有相続以外の相続方法

それでは次に、共有相続以外の方法で不動産を相続する方法をご紹介します。

現物分割(げんぶつぶんかつ)

物理的に分割して相続する方法です。例えば300平米の土地を兄弟3人で100平米ずつに分けるなどです。現物分割するために古い住宅を取り壊して更地にするというのも一つの手段でしょう。

代償分割(だいしょうぶんかつ)

一部の相続人が不動産を取得し、代わりに他の相続人に金銭を支払う相続方法です。例えば、自宅の土地建物(2,000万円の価値)を長男が相続し、代わりに長女に1,000万円支払うなどです。

金銭で調整するため一定の公平性を確保しながら遺産を分割することが可能ですが、高額な財産を取得する相続人が代償金を支払うためには一定の資力が必要になります。

換価分割(かんかぶんかつ)

相続財産を売却しその売却益を分割する方法です。平等な分割がしやすく代償分割のように特定の相続人の資力も必要ありません。ただし、住む予定の自宅や自社株など換金できない理由のある資産には不向きと言えます。

また、相続人間で売却条件について合意できなかったり、売却自体が進まない可能性もあります。なお、不動産を売却した場合、相続税とは別に譲渡所得税がかかる可能性がある事も考慮しておく必要があります。

以上のように共有以外の選択肢も含めて検討していただくことが重要です。

さいごに

いかがでしたか?

共有相続は、遺産分割の話し合いを決着させるために選択されることが多いですが、将来的にさまざまなトラブルの原因となる可能性があります。一度共有相続にしてしまうと、共有状態を解消するのは、遺産分割協議以上に労力がかかることが多いです。共有相続をする際は慎重に検討することが必要です。

当事務所では、遺言書作成や相続手続きに関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)

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