皆さんこんにちは。行政書士・社会福祉士の野澤です。
今週は過ごしやすい秋の陽気が続きましたね。中秋の名月も素敵でした。皆さんはご覧になりましたか?
さて、皆さんは遺言書の付言事項(ふげんじこう)についてご存じでしょうか?「付言」という言葉の通り、遺言書につけ足す事項のことなのですが、実はこの付言事項、相続時のトラブルを防ぐために有効なんです。一方で書き方を間違えると余計なトラブルを引き起こすこともあります。そこで今回は、付言事項について例文も交えてご紹介いたします。
付言事項とは?
遺言書は法的効力のある書類ですが、法的効力が認められる内容は決まっており、すべての内容が法的効力を持つわけではありません。
法的効力が認められる内容のことを「法的遺言事項」と呼びます。たとえば、誰にどのような割合で相続させるか、どのような方法で分割するか、遺言執行者を誰にするか、などです。
これに対し、法的効力が認められない内容を「付言事項」と呼びます。付言事項には、遺言書を書いた理由や、この相続割合にした理由、家族へのメッセージなどを記載することが一般的で、絶対に書かなければならないものではありません。
なぜ書くのか?メリットは?
ではなぜ付言事項を書くと良いのでしょうか?
付言事項のメリットは、ご自身の思いや意図を遺言書に盛り込むことで、相続トラブルを防ぐことができることです。
なぜこのような遺産割合なのか理由がわからないと不利な割合の方が不満を持ち争いに発展したり、場合によってはこの遺言書は偽造なのでは?と疑ったりして相続手続きが進まなくなる可能性があります。それでは円満に相続してほしいという目的で書いた遺言書が元も子もありません。
そこで、付言事項で「なぜこのような割合にしているのか」、「どのような思いで遺言書を書いたのか」などを記載しておくことが有効になるのです。
付言事項の例
では具体的にどのように書くと良いのでしょうか?
付言事項は自由な書き方ができます。堅苦しい表現や敬語は不要で、お手紙のような気軽なスタイルで書くことができます。以下具体例を挙げますので、参考になさってください。
①感謝の気持ちを伝える
優れた妻と子供たちの支えがあって、幸せな家庭を築き、楽しい人生を歩むことができて感謝しています。これからも家族が助け合い、仲良く幸せな人生を過ごせることを心から願っています。
②相続分を指定した理由
妻に、共に築いた自宅の土地と建物を相続させる決断をしました。これは住居についての不安を無くして、のんびりとした老後を送ってほしいという願いからです。この不動産だけでも遺産の半分以上を占めると思いますが、子供たちにはこの考えを理解してほしいです。遺産分割で妻に対して遺留分を請求することがないようお願いします。これからも妻をどうぞよろしくお願いします。
③遺言書を書いた経緯
私の家族は思いやりがあり、互いに尊重しあえるので相続に関連する争いやトラブルは起きないだろうと信じています。ただ心配性の性格から、念のために遺言書を作成することにしました。
注意すべき点
付言事項では、否定的な内容は避ける方が良いでしょう。なぜなら、文章を書いた本人がもういないからです。本人がいない中では文章が強調されるため感情的になりやすく、否定的なことを書かれた方が他の方に対して悪い印象を持ち、争いの火種になる可能性があります。
たとえば同じ内容でも以下のように否定的な部分は除いて記載する方が良いでしょう
長男は面倒を見てくれなかったから代わりに面倒を見てくれた次男に財産を遺します。
献身的に私の世話をしてくれた次男に心ばかりのお礼として財産を遺します。
また、付言事項があまり長くなりすぎるのも遺言書の趣旨が曖昧になってしまうため良くありません。最長でもA4用紙一枚にまとまるようにして、それ以上に伝えたい思いがある場合はエンディングノートや録音など、他の手段を活用すると良いでしょう。
さいごに
いかがでしたか?
遺言書の主な目的は円満な相続手続きを行う事ですが、法律の要件に沿った有効な遺言書を作ればその目的が達成できるとは限りません。遺産の割合や付言事項を工夫するなど、適切な内容になるよう心掛けることが大切です。当事務所では、遺言書作成に関するご相談を承っております。少しでも不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。(初回相談料は無料です)
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